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リチュウムイオンバッテリー放電時の内部抵抗変化の計測
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     リチュウムイオンバッテリー(18650)の1A定電流放電におけるバッテリー内部抵抗の変化を計測してみた。内部抵抗は交流(矩形波 1KHz)定電流源を用いた四端子法にて計測している。上は横軸に放電容量(mAh)で、縦軸にバッテリー電圧としたグラフである。通常見る放電時の電圧変化である。下は交流定電流源を用いた四端子法で計測したバッテリー内部抵抗である。黒は実測値である。この実測値はバッテリーは定電流放電装置と接続しているため、バッテリーの内部抵抗と定電流放電装置の抵抗と並列接続した抵抗値を計測している事になる。よって、電池電圧と電流から定電流放電装置の内部抵抗が計算でき、バッテリー内部抵抗を計算で求めることができる。それが赤線のグラフである。

     

     内部抵抗の変化を見ると、放電と共にバッテリー内部抵抗が減少している。また放電直前で内部抵抗は急激に上昇している。放電により電池内部抵抗は徐々に増加していくと予想していたが、その逆で放電により徐々に内部抵抗が減少すると言った結果であった。最後の放電終了直前に内部抵抗が急激に上昇するのは予想の通りであったが内部抵抗は放電開始直前の値に戻っただけのようである。放電終了の直前の電池電圧が 2.682V の時、バッテリー内部抵抗が最大になり、再び内部抵抗が減少する。この内部抵抗のピークがあるのも面白い現象である。18650 の本当のエンプティは 2.4V ではなく、この 2.682V ではないのだろうか?

     

     今回の計測の目的は放電時のバッテリー温度上昇はバッテリー内部抵抗の増加に起因している予想を調べるためのものである。しかし、放電により内部抵抗が減少する結果となり予想は外れた事になる。少なくても放電終了直前に内部抵抗の急激な増加が見られるが、放電開始直前に戻るだけ。バッテリーの内部抵抗で消費される電力は P=R•I2 で、電流は 1A なので下のグラフ縦軸を mΩ から mW にするだけで良い。よって 70〜80mW の電力となる。これではバッテリーは暖かくならないであろう。

     何故、このような結果になったのか。交流定電流源を用いた四端子法にて計測した値は、単に 1KHz の周波数におけるインピーダンスのような値でしか無いのかもしれない。バッテリーの状態を示す一つのパラメータと言う事かもしれない。
     
     やっぱり、DC 方式の計測方法が良いのだろうか? と言う前に何の為にバッテリーの内部抵抗を計測しているんだろうか? それをハッキリさせないといかんのだろうな〜 まあ私としては測って見たかった、測れる装置を作りたかっただけなのだが、計測結果を見ると予想とことごとく異なり.......自信無くすな〜

     そうそう、目的の一つに廃棄するバッテリーの目安を内部抵抗で決めるのも有った。まずは作った回路を実際に使えるよう、いつでも使えるようケースに入れようと思う(DE-5000 が有るので無駄かもしれないが)。

     

    以上

     

    P.S. 参考

     左のグラフはニッケル水素充電池(NiMH)のエネループに 1.6Ωの抵抗負荷を加えたときの電圧変化と内部抵抗の変化を示している。内部抵抗は放電開始直後に 1mΩ程下がるが、後は安定し 1200mAh から徐々に増加する傾向にあるようだ。内部抵抗の変化は明らかにリチュウムイオンバッテリーと異なるようだ。
     

     

    | 電子工作 | 13:49 | comments(5) | - |
    コメント
     
     バッテリーの研究をしている者です。
     素晴らしいブログとデータを有難うございます。
    リチウムイオンバッテリーの放電と内部抵抗について、
    http://img-cdn.jg.jugem.jp/191/3223444/20160907_1822550.jpg
    データを頂きたいのですがお願いできないでしょうか?
    | LIB | 2020/03/27 6:22 PM |
     コメントありがとうございます。18650 の内部抵抗変化のデータが欲しいとの事ですが、使用目的などを紹介・説明して頂ければデータの提供は可能です。でも、実際の研究者は計測条件不明な他者の生データを欲しがることは無いと思いますが。

     で、ちょっと気になったのですが、貴方のメールアドレス(捨てメ?)に scp なる文字列が含まれています。SCP と関係していないとは思いますが、もし関係あるなら私のブログの趣旨に反する可能性があるので提供はできかねます。
    | 管理者 | 2020/03/29 8:00 AM |
    お世話になります。ネット検索で初めて知りましたがSCP財団の事でしょうか、それとは全く無関係です。
    データの使用目的は、今行っているバッテリーの研究で内部抵抗とクーロンカウント(mAh)の関係を知りたいからです。参考で引用させて頂きたいので計測条件は不要ですが、できればもう少し知りたいと思っております。 もしご希望であればファラデーインピーダンス能動と内部抵抗の減少を示す計算結果を差し上げます。メールをご返信頂けましたら幸甚です、是非宜しくお願い致します。
    | LIB | 2020/03/29 6:06 PM |
    SCPの件、了解しました。目的も何となくわかった様なわからない様な。でもまあ、当方の計測データも既にグラフとして公開しているので提供させていただきます。4年も前の計測なので、これから探して見ます。計測データは、基本的に消すことは無いので、存在はしています。もう少しお待ちください。

     Li-ion バッテリーで、教えていただきたいのですが。同じバッテリーを10年以上使っていると「http://zatubun.nis-lab.moo.jp/?eid=275」の様に内部抵抗が周期的に変動する様になってきます。この現象って普通に知られていることなんでしょうか? 使い初めてから1&#12316;2年程度でこの現象は見られませんが、公称容量の半分を下回る様になると「http://zatubun.nis-lab.moo.jp/?eid=274」の様な感じになります。
    | 管理者 | 2020/04/01 9:31 AM |
    ご提供誠に有難うございます。こちらのシミュレーションでも電荷を放出する際に内部抵抗が小さくなる傾向があります。発熱が電流の増加により伴いますが、発熱で抵抗が増えると一概に言えないと思います。
    劣化モードについての見識は今のところございません。多様なモードについて解析が必要と思いますが、このように内部抵抗が下がるのと発熱で抵抗が上がるのと、振動現象のような事が起こっているかも知れません、私の経験は浅いですがこれまで認知されない現象と思われます。メールを頂けましたら幸甚です。
    | LIB | 2020/04/02 11:31 AM |
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